Z250(ニンジャ250)のメーターを修理できなかった話

今日のクロライト

お取引のあるバイクショップ様やパーツショップ様から「壊れた基板を直せない?」「LEDでこんなことできない?」というようなご相談を時折いただくことがあります。

現時点ではそのような修理やワンオフ加工といったものを事業としておこなうことは考えておらず、どうしてもお困りの時に善意で協力しております。

当記事は題名の通り「頑張ってみたけど修理できなかった話」ですのでご留意くださいませ。

今回はいつも当店製品を販売いただいている近所のバイクショップ様から「お客様のZ250の純正メーターが故障しており、新品部品は5万5千円程度かかりなおかつ納期未定の為、どうにか直せないか」というご相談をいただきました。私も基板修理は専門分野ではありませんので「ダメ元で見るだけでも・・・」ということでお預かりしました。

ショップ様の確認によると、原因は水分や湿気であることが明確で「各ランプの点灯異常」「切り替えボタンの動作不良」「液晶部分の異常」などが発生しているとのことでした。私のほうでもネットで検索してみたところ、Z250と同デザインのメーターを採用しているニンジャ250(’13-’17)において近い内容の報告がちらほら。

根本原因はメーター本体の気密性の問題で水分がメーター内部に侵入し、パネルの結露や曇り、基板の不具合を招いているようです。

あるニンジャ250ユーザーさんのブログ記事には「機能不具合は無いけどメーターが曇って、乾いても水垢っぽいのが付着しているのが気になる」ということで、自主的に調べて対策品とされているメーターカバー(曇り対策済み)とパッキン類へ交換し、曇る症状が治まったと書かれていました。

点灯不具合が出ている以上、多少の腐食があるのは確実なのですが軽症であることを願いつつ作業を始めました。

こちらが今回お預かりしたZ250の純正メーター。パネルのロゴの違いがある程度でニンジャ250(’13-’17)とおそらく基本部分は共通と思われます。

コネクタ部分から覗ける範囲には基板の腐食はなく、カバー表面にもわりと水垢のようなものは見えないかったのですが、期待を持ちながらメーターカバーを外すと・・・

やはりメーター基板の下部にはっきりと水垢が残っており、液晶部分下部のハンダにも腐食が出てしまっていました。

上の写真の二箇所(メーター右側部分)は軽症だったのですが、左側部分に目をやると・・・

表面実装のスイッチ部分に二箇所とも激しい腐食が・・・

そして最も腐食とカビ?が激しかったのが、メーター裏の左側部分でした。おそらくランプの点灯不具合はこの部分に起因しているものと思われます。

バイクは駐車時に左へ傾き、たまった水分はメーター内の左側に寄るのでこの部分が激しく腐食してしまったのでしょう。

できる範囲で腐食部分の洗浄、磨き、ハンダ修正をしてみます。

結果、表面上の軽度の腐食は取り除くことができましたが、肝心の裏面左側のチップ抵抗の修正を一カ所試みたところ、半田ごてで過熱するとたちまち基板のランドごと剥がれてしまいました。基板パターンも細く、通電できない腐食範囲が広い為、部品同士の繋がりを追うこともできませんでした。

これ以上の作業は確実に状態を悪くしてしまうだけだと判断し、チップ抵抗を戻して作業を中断しました。

ユーザー様もショップ様も少なからず直ることを期待されていると思うので、お力になれず無念さが募ります・・・。

なぜこのメーターの少なくない数の個体で水気の侵入による不具合が出ているのか。ケースのはめ合い部分にはよく見るとごく薄いパッキンのような物が確認できましたが、これが機能していないということなのでしょうか。

カウル付きのニンジャ250に比べると、Z250はメーター部分に直接かかる水分が確実に多いはずですので、今回のように状態が深刻になってしまったことに繋がっていると思います。

なお、メーカー保証範囲の購入から2年以内であれば保証適用でメーター交換をしてもらえるはずですが、該当年式のZ250・ニンジャ250に現在お乗りの方のほとんどは自費での対応となってしまうはずです。未対応の方はメーターの内部状態を確認し、水気の侵入が無い場合でもケースの防水シールの追加工などを「適切におこなうこと」をおすすめします。 このような不具合は「じわじわと進行していくこと」がほとんどです。放置していて状況が改善することはないので、小さな不具合のうちに対応を取るようにしてください。

当店製品のほぼ全てにも電子基板が入っていますが、水気の侵入が想定される箇所は基本的に「基板本体を防湿コーティングまたは樹脂充填による防水処理」しています。このメーターのように基板への防水処理をせずに防水ケースに収めたほうが低コストではあり生産上の都合もあるのだと思いますが、ケースの防水機能が失われた時に無防備な基板は確実に損傷を受けてしまいます。

「スイッチの故障」や「LEDの球切れ」などは個々に対応部品へ交換することで機能回復できますが、今回のように「広範囲に水害」を受けてしまうとほぼ修理は不可能なのかなと感じました。

メーカー様も様々なコスト努力をされてはいるのだとは思いますが、お困りのユーザー様に向けた救済措置が取られることを願っています・・・。

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