交換式LEDヘッドライトの現状

2015年1月29日LEDあれこれ

新型のPCXやCBなどで純正採用が進んでいるLEDヘッドライトですが、ハロゲン電球から置き換える交換タイプのキットも巷で大人気ですね。

 

少し前までは従来のポジションランプなどに使用されている白色LEDとヘッドライト規格の電球口金を組み合わせただけの、ヘッドライトどころかデイライトレベルの光が弱い製品のみでした。今から1年ほど前に、海外の製造会社がCree社の一般照明向けハイパワーLED素子と冷却ファンを組み合わせて、実用レベルの性能を持った製品を発売したのをきっかけに人気に火がついて、いまやかなりの種類が市販されています。

※いまだに売られているのを見かけますが、冷却ファンや大きな放熱器が無い製品=実用レベルの明るさは無い と考えて良いので、ヘッドライト用に明るいライトを求めている方はご注意ください。

 

初期製品の登場からわずか1年程度で、明るさ・安定性などかなり改良が進んできており、現状の製品でも純正のハロゲン電球からの置き換えという意味では合格レベルだと感じています。

ただ私は、これからも改良は進んでいくと思いますが、何か技術革新でもない限り、劇的な進化は難しいかなという気もしています。

 

そう思う理由は、電球からの置き換え式である以上「同じような本体形状に収める」という制限のもと製品を作らざるを得ないからです。

 

まず、ヘッドライトに使用されているような高出力のLEDは、強烈な明るさを発すると同時に物凄い熱を発します。※メーター照明やちょっとしたランプに使用されているLEDは出力が低いのでほとんど発熱しません

LEDの明るさと熱の関係は比例しているので、LEDが持っている明るさを引き出すには、この熱をどう発散させるかがキーポイントになるんです。

現在の市販品の放熱方式を見てみると、冷却ファンを装備している物が大半で、最近はファンの代わりに大きめの放熱器を装備した物も見かけます。

でも、どちらの方式でも現行品以上の明るさを求めるとなると、冷却能力が不足しています。

 

明るさを向上させるには、LEDの数を増やすか、より出力の高いLEDを採用すればいいだけの話なのですが、同時により強力な放熱性が求められます。

しかしここで、上で書いた「ハロゲン電球と置き換え可能であること」という制限が形状設計の邪魔になり、明るさ向上の大きな足かせになっているわけです。

そういう意味でメーカー純正LEDヘッドライトは、LEDの出力に合わせてヘッドライト本体を設計すればいい話なのでヘッドライトとして理想的なものを比較的容易に実現できていると思います。

 

125ccクラスのPCXに純正採用されたことから、今後LEDヘッドライトがスタンダードになっていくのは目に見えていますので、技術革新が起きる頃にはハロゲンヘッドライトの車両が減って、交換式LEDヘッドライトのニーズが無くなっているなんてことにもしかしたらなるかもしれません・・・。

私もLED業界の最新情報を得る為、技術系の展示会があれば足を運んでいるのでその辺のアンテナは常に張っておこうと思います。

 

ちなみにクロライトでも、先日PCX(JF28/KF12)用リード110用のLEDヘッドライトキットを発売し、おかげさまで多数のお客様にご購入をいただいております。

当キットは、検品はもちろん端子部の処理や防水処理の仕上げを日本国内でおこなうことで高い信頼性を確保しております。

また、LED・電子部品の大敵である夏場の高熱環境にも安定して点灯できるよう、放熱性抜群の専用アルミ削り出しドライバケースを日本で製作し採用いたしました。

ハロゲンからの置き換えでは十分な性能の向上を実感できる製品ですので、PCXとリード110でヘッドライトをより明るくしたいという方はぜひご検討いただけると幸いです。

 

↓後日、新型PCXのLEDヘッドライトの分解記事を更新しました。

ランプ構造をLEDに合わせて最適化することで、金属製の放熱器などを用いずにLEDヘッドライトを実現しています。

ただ、実用レベルでの明るさではあるものの、HIDの光に慣れている人には物足りなく感じることがあるようで、ページへアクセスいただいている方の検索ワードを見ると、さらなる明るさの向上を望んでいる方も多いようです。

新型PCXの純正LEDヘッドライトを分解してみました

2015年1月29日LEDあれこれ

Posted by クロライト 黒石